ヨーロッパ紀行2日目 9/24

 Koblenz→Koln Bike 115km


ゴール地はコルンじゃなくていわゆる「ケルン」だけど、字が無いので。


Koblenzのホテルで朝ご飯を食べ、とりあえず走り出す。
ラインの右岸、国道43号線自転車道も無いのか、車が結構なスピードで走っている。
ちょっと嫌な予感はあったのだが……。


覆面パトカーが、青いライトを光らせ自転車の前まで来て、付いて来い、とノタマウ。
正直、まいったなぁ、と思った。
次の町で脇道に呼ばれ、止まったところで降りてきた男女二人組みに詰問される。


中年男のいきなりの言葉が、「ドイッチェ?」だった。
それがドイツ語で、ドイツ・ドイツ人などを指すんだろう、というのはもちろん分かる。
のだが、質問の意図がさっぱり分からず、頭上をはてなマークが舞った。
続いて、「Germany?」と来た。


なんと、彼は僕をドイツ人か確かめようとしたのだ。
ちゅうか、わかるだろ?
身長160cmで、髪は黒、薄い無精ひげも黒、眼も黒。
そして酔狂にも自転車によくわからん荷物を載せて、自動車道を突っ走るバカ。
そんなドイツ人がいるか?
それでも第一声で、ドイツ人かどうかを確かめようとした、その生真面目さが、
ある意味で正真正銘の、ドイツ人気質なのかもしれない、とふと思った。


呼び止められた時点で、自転車通行禁止だったのだろうな、という想像はついていた。
とりあえず、交通法規を知らなかったことを前面に押し出し、
言葉も得意でない(事実そうだが)様子で神妙な顔をして待ってみた。


パスポートを見て、車の中でなにやら話をしていたが、面倒を避けたのか、
簡単な注意で釈放された。
ライン川の向こう岸(西側・左岸)に、自転車道があるから、
ケルンまで行くならそれが一番良い、とのこと。
礼を言って分かれた。


自転車道があるのは知っていた。
ただ、ダートだったり、迂回が多かったりして、ペースが上がらないのだ。
ま、それも仕方ない。
ホントならケルンよりも先まで行きたかったのだが、諦めざるを得なさそうだ。


昼過ぎ、Bonnに付いた。
一応、と思ってベートーベンの生家を見に行く。
日本人の姿を見て、少しホッとする。やっぱり観光地なんだな、と安心した。


昔の楽器だとか、本人の楽譜だとか、いろいろと展示していたけれど、
家自体のほうがよっぽど価値があるような気がした。
木の床が軋む。ベートーベンもこの音を聞いたのだろうか?


昼飯を食べそびれたまま、ケルンまで走り出す。
空腹が限界点を突破したら、川岸で何か探そう、と思いながら走っていくと、
急に町から離れだし、森の中を自転車道が続いていく。
空腹に加え、水も切れた。
ついに諦めて左折、少し町に出たところでパン屋を発見。
パンとコーラと水を買って、コーラを飲みながらパンをかじった。
サクサクして本当にうまい。


ケルンに着く直前、小雨が降りだした。
これまではずっと晴天続きだったのだが、そろそろ悪運は尽きたか。


世界遺産にもなっている大聖堂の中は、どこまでも荘厳に、人々を包んでいた。
一体どれだけの人々が、この大聖堂で祈りを捧げたのだろう?
きっと果てしない数の祈りがあって、それでも世界から戦争も犯罪もなくならない。
祈りなんて無力なのか?
それでもまだ、人は祈るんだろうか?
きっとこんなことを考えたのは、Coccoの影響なんだろうけど。


小雨のパラつく夜の町並みを冷やかして歩いた。
レゴショップに感動し、電気屋で買いもしないテレビを眺め、
テイクアウトのパンをかじり、ビールを買って、部屋で飲んだ。


明日は電車だ。